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大阪・京橋をおしゃれな街に 「京阪モール」14年ぶりの改装の狙いは?

 京阪流通システムズが運営する大阪京橋の商業施設「京阪モール」が3月17日、14年ぶりに改装オープンした。「価値ある寄り道」をコンセプトに、30分の寄り道で満足できるモールをめざし、1・2階フロアを大幅に改装。1日の乗降客47万人のターミナルにありながらこれまで通過点に甘んじてきたが、近隣住民やワーカー、沿線住民らが立ち寄りたくなる充実した施設に生まれ変わった。(文・写真 / 橋長初代)

 改装ポイントのひとつは、衣料品を減らし、生活雑貨や食関連のテナント比率を高めることで来店頻度の向上を図ったこと。「顧客を対象に実施した調査では、カフェやレストラン、生活雑貨のニーズが高く、その結果を反映した」(広報担当者)。核テナントの京阪百貨店1階には、イスラエル発のボディケアブランド「サボン」と、約25ブランドのコスメを揃えるセレクトショップ「フルーツギャザリング」、「アーバンリサーチ」のレディスオンリーショップが初出店。他にも「マーコート」「エービーシー・モノ」「コクーニスト」「アンデミュウ」など、キタやミナミに流出していたOL層のファッション、美容ニーズに対応するテナントを新たに導入した。さらに、京阪百貨店の1階にスーパーマーケット「成城石井」を導入。営業時間を午前10時から午後 11 時までとして、近隣住民のみならず仕事帰りのビジネスマンの日常使いを狙う。

  2つめのポイントは、1階北側にモールの"顔"となる通路「ノーステラス」を新設したこと。東西に長い施設構造を最大限に生かすため、これまで移動通路の役割しかなかった北側通路に路面店を配置。テラス席を設けるなど開放的な空間にし、施設全体の回遊性を高めた。ノーステラスには、鶏料理専門店「かしわネオビストロ はーばーど」、イタリアン炉端「ロビン」、カフェ&バー併設のベーカリー「ブラウン ベーカリー」などが並ぶ。なかでも注目は、昨年11月に京阪グループ傘下に入った株式会社カフェが手がける「ブラウン ベーカリー」だ。同社はインテリア・建築デザインの設計を行うほか、京阪神と東京に16店舗のレストラン、カフェを運営。今回、京阪モールには「ブラウン ベーカリー」のほか、ホテル館2階にブック&カフェ「タブレス クック&ジョナサンズ」を出店した。

 無機質な空間を生かした1階の「ブラウン ベーカリー」では、素材と製法にこだわったパンやスイーツを販売。焼きたてパンを味わえる2階では、フレンチ、イタリアンをベースにジャンルにとらわれないオリジナル料理を楽しめる。店内は、京阪電車の高架下にもかかわらず、開放的でゆったりした空間。京阪特急のカラーをイメージした壁面アートや、地下鉄御堂筋線のホーム照明を思い出させる豪華なシャンデリアが印象的だ。4月20日には、カフェの奥に高級フレンチレストラン「グトリップ」もオープン。世界の料理を旅するように食べられるのがテーマという。

 同店出店の狙いについて、カフェの森井良幸社長は「京橋のマーケットに合わせると、ビール1杯370円の業態になってしまう。もともとマーケットを創るほうが得意なので、京橋の街の価値をあげるために単価の高いレストランを作った。カフェの客単価は3000円、フレンチは1万〜1万5000円を予定。大阪ビジネスパークで働いている人や京橋に来たことがない人にも来て欲しい」と話す。 森井氏は1996年、デザイン事務所兼カフェを大阪南堀江に開業。カフェブームにも乗り、それまでひと気の少なかった南堀江をおしゃれな街に変える火付け役となった。「そんなふうに京橋も変えてみたい。梅田、難波、天王寺に次ぐ大阪第四の街として責任感も感じている。京橋は、利便性と住みやすさの点でポテンシャルがある街。駅前にベーカリーとスーバーマーケットとカフェがある街は発展する、という仮説を検証するための実験店としても、ブラウンベーカリーを位置づけている」。

 京阪京橋駅の高架下には、人気のカフェやダイニングが集積する商業施設「Kぶらっと」も隣接し、新しい人の流れが生まれつつある。リニューアルを機に、キタやミナミとは一線を画す京橋スタイルをどう確立していくかが、今後の課題といえそうだ。(文・写真 / 橋長初代)